パートナーが動かない原因:契約後90日で決まること
「パートナー契約は増えたのに、案件が来ない」「契約したきり連絡がない」。パートナーが動かない問題は、多くのB2B SaaSチームが経験します。
この記事でわかること
- パートナーが動かない原因: 契約後の放置、トレーニング不足、インセンティブ設計の問題
- 最初の90日で決まること: オンボーディングの成否が長期成果を左右する
- 伴走型オンボーディングの実践: 具体的なスケジュールとアクション
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カテゴリ | GTM戦略 |
| 難易度 | 中級 |
| 想定読了時間 | 12分 |

パートナーが動かない原因
原因1: 契約後に放置する
契約締結で安心し、その後のサポートがない状態です。パートナーは複数のベンダーと契約しているため、サポートがないと後回しにされます。
よくある症状:
- 契約後、定期的な連絡がない
- パートナーが何をすべきかわからない
- 問い合わせがあっても対応が遅い
原因2: トレーニングが不十分
パートナーが製品を理解していないと、顧客に説明できません。
トレーニング不足の影響:
- 製品の価値を正しく伝えられない
- 質問に答えられない
- 自信を持って提案できない
原因3: インセンティブが弱い
パートナーにとって「売る理由」がなければ動きません。
インセンティブの問題例:
- マージンが低すぎる(他製品を優先される)
- 支払いが遅い
- 成果が出ても報われない
原因4: 売り方を教えていない
製品知識だけでは売れません。「どう売るか」のプレイブックが必要です。

最初の90日で決まること
なぜ90日が重要か
パートナーとの関係は、契約後90日で方向性が決まります。この期間に成功体験を提供できなければ、「動かないパートナー」になる可能性が高まります。
研究データ: パートナーの成否は最初の90日の活動量と相関が高く、この期間に初回案件を獲得したパートナーは、その後も継続的に成果を出す傾向があります。
90日間のマイルストーン
| 期間 | マイルストーン | 目標 |
|---|---|---|
| 0-30日 | 基礎固め | 製品理解、ツール設定、初回トレーニング完了 |
| 31-60日 | 実践開始 | 初回案件へのアプローチ、共同営業 |
| 61-90日 | 成果確認 | 初回受注、振り返り、改善 |
伴走型オンボーディングの設計

Phase 1: 契約後0-30日(基礎固め)
Week 1: キックオフ
やること:
- キックオフミーティング(目標設定、期待値のすり合わせ)
- 担当者の紹介(パートナー側・自社側)
- パートナーポータルのアクセス設定
キックオフで確認すること:
| 項目 | 質問例 |
|---|---|
| 動機 | なぜ当社と組みたいと思ったか |
| リソース | パートナー事業に何人アサインできるか |
| 目標 | 初年度の売上目標は |
| 既存顧客 | アプローチできそうな既存顧客は |
Week 2-3: 製品トレーニング
トレーニング内容:
- 製品の基本機能と価値
- ターゲット顧客像
- よくある導入シナリオ
- デモの実演
形式:
- オンラインセッション(60-90分 × 2-3回)
- 自習教材(動画・ドキュメント)
- 認定テスト
Week 4: 営業トレーニング
営業トレーニング内容:
- 顧客の課題と解決策の伝え方
- 競合との比較
- 価格提示とクロージング
- 想定問答集
Phase 2: 契約後31-60日(実践開始)
共同案件リストの作成
パートナーの既存顧客や見込み客の中から、アプローチ先を一緒に選定します。
選定基準:
- 自社製品のターゲットに合っているか
- パートナーとの関係性は良好か
- 導入時期の見込みは
共同営業の実施
最初の数件は、自社の営業と一緒に訪問・商談を行います。
共同営業のポイント:
- パートナーをメインに、自社はサポート役
- 商談後に振り返りを実施
- うまくいった点・改善点をフィードバック
Phase 3: 契約後61-90日(成果確認)
初回受注のサポート
最初の1件を受注することが最も重要です。必要に応じて特別なサポートを提供します。
初回受注のサポート例:
- 提案書のレビュー
- 価格交渉のアドバイス
- 導入支援の同行
90日レビュー
90日時点で振り返りを行い、次の四半期の計画を立てます。
レビュー項目:
- 活動量(アプローチ数、商談数)
- 成果(受注数、売上)
- 課題と改善点
- 次四半期の目標
パートナー向けリソースの整備
必須リソース
| リソース | 内容 | 提供形式 |
|---|---|---|
| 製品資料 | 概要説明、機能一覧 | PDF、Webページ |
| 提案書テンプレート | カスタマイズ可能なひな形 | PPT、Google Slides |
| 価格表 | パートナー向け価格、マージン | |
| デモ環境 | 顧客へのデモ用アカウント | ログイン情報 |
| FAQ | よくある質問と回答 | Webページ |
あると良いリソース
| リソース | 内容 | 提供形式 |
|---|---|---|
| 事例集 | 導入事例、ROI実績 | |
| 競合比較表 | 競合との違い | |
| 想定問答集 | 顧客からの質問への回答例 | ドキュメント |
| ROI試算ツール | 顧客向け効果試算 | スプレッドシート |
パートナーマネジメントの体制
専任担当の設置
パートナー数が5社を超えたら、専任のパートナーマネージャーを設置することを検討します。
パートナーマネージャーの役割:
- オンボーディングの実施
- 定期的なコミュニケーション
- 案件支援
- パフォーマンスレビュー
コミュニケーション頻度
| パートナータイプ | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期(0-90日) | 週1回 | 進捗確認、課題解決 |
| アクティブ | 隔週〜月1回 | 案件状況、サポート |
| 休眠 | 四半期1回 | 再活性化の打診 |
実践チェックリスト
- パートナーオンボーディングの90日計画を作成した
- キックオフのアジェンダを準備した
- 製品トレーニングのカリキュラムを整備した
- 営業トレーニング(プレイブック)を作成した
- パートナー向けリソースを整備した
よくある質問(FAQ)
Q1. パートナーが多すぎて全員に伴走できません。
優先順位をつけます。潜在性の高いパートナー(既存顧客基盤、業界知識、販売リソース)に集中し、それ以外はセルフサーブ型のリソースを提供します。
Q2. パートナーのモチベーションを維持するには?
定期的なコミュニケーション、成功事例の共有、インセンティブの適切な設計が重要です。また、「一緒に成長する」姿勢を見せることが信頼につながります。
Q3. トレーニングを受けてくれません。
トレーニングの価値を明確にします。「このトレーニングを受けたパートナーは受注率が〇〇%高い」などのデータを示します。また、認定制度と紐づけてインセンティブにする方法もあります。
Q4. 90日で成果が出なかったパートナーはどうすべきですか?
原因を分析します。リソース不足、優先度の問題、フィット不足など、原因によって対応が異なります。改善の見込みがなければ、関係を維持しつつ優先度を下げます。
Q5. パートナーとの契約前にオンボーディング計画を共有すべきですか?
共有することを推奨します。「契約後にどんなサポートがあるか」を事前に示すことで、パートナーの期待値が上がり、コミットメントも高まります。
まとめ
主要ポイント
- 最初の90日が勝負: 契約後の放置が「動かないパートナー」を生む
- 伴走型オンボーディング: トレーニング → 共同営業 → 初回受注までサポート
- リソースと体制の整備: パートナーが自走できる環境を作る
次のステップ
- 90日オンボーディング計画を作成する
- パートナー向けリソースの棚卸しをする
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参考リソース
- How to Build a Successful B2B SaaS Onboarding Strategy in 2025
- Building a B2B SaaS Partner Program: Our 8-Step Process
本記事はyap(ヤップ)のB2B SaaS GTMシリーズの一部です。
この記事を書いた人
yap編集室
株式会社yapの新規事業開発コンサルタントたちによる編集チームです。新規事業の仮説検証・PMF設計、営業推進に関する知見を、さまざまなプロジェクト支援の経験をもとに発信しています。


