直販・広告・パートナーの選び方

B2B SaaSの販売チャネル選択で遠回りしないための判断軸を解説します。直販・広告・パートナーそれぞれの特徴と、事業フェーズに応じた選び方を紹介します。

yap編集室|

チャネル選びで遠回りする:直販・広告・パートナーをどう選ぶか

「直販で伸び悩んでいる」「広告費が膨らんでいる」「パートナーを増やしたいが動いてくれない」。チャネル戦略で悩むB2B SaaSチームは多いです。


この記事でわかること

  1. チャネル選択で遠回りする理由: 判断軸の不在と「全部やる」の罠
  2. 4つの判断軸: 顧客接点・スケーラビリティ・コントロール性・コスト効率
  3. 事業フェーズ別の選び方: 初期・成長期・拡大期での最適解

基本情報

項目内容
カテゴリGTM戦略
難易度中級
想定読了時間12分

チャネル選択の判断軸


チャネル選択で遠回りする理由

「全部やる」の罠

リソースが限られるスタートアップが、直販・広告・パートナーのすべてを同時に立ち上げようとすると、どれも中途半端になります。

判断軸がない

「競合がやっているから」「知り合いに紹介されたから」といった理由でチャネルを選ぶと、自社に合わない施策に時間を使うことになります。

チャネルの特性を理解していない

各チャネルにはメリット・デメリットがあります。それを理解せずに始めると、期待と現実のギャップに苦しみます。


チャネルの種類と特徴

直販(Direct Sales)

営業チームが顧客と直接対話して販売する方法です。

項目内容
メリット顧客理解が深まる、価格コントロール可能、フィードバックが早い
デメリットスケールしにくい、人件費がかかる
適したケースエンタープライズ向け、複雑な商材、高単価

広告・デジタルマーケティング

Web広告やSEOで見込み客を獲得する方法です。

項目内容
メリットスケールしやすい、データで最適化できる
デメリットCAC高騰リスク、競合との消耗戦
適したケースSMB向け、明確な課題解決、比較的低単価

パートナー(Channel Sales)

代理店・リセラー・紹介パートナーを通じて販売する方法です。

項目内容
メリット顧客ネットワークを活用、信頼を借りられる
デメリットコントロールしにくい、立ち上げに時間がかかる
適したケース特定業界向け、導入支援が必要、既存顧客基盤の活用

チャネル選択の4つの判断軸

1. 顧客接点の近さ

顧客と直接対話できるか、間に誰かが入るかです。

  • 近い(直販): 顧客の声を直接聞ける、迅速な対応が可能
  • 遠い(パートナー): 情報が伝言ゲームになりやすい

2. スケーラビリティ

売上を伸ばすときに、どれだけ効率的に拡大できるかです。

  • 高い(広告・パートナー): 投資に比例して拡大
  • 低い(直販): 人員増が必要

3. コントロール性

価格・メッセージ・顧客体験をどれだけ制御できるかです。

  • 高い(直販・自社マーケ): すべて自社で決定
  • 低い(パートナー): パートナーの方針に左右される

4. コスト効率

顧客獲得にかかるコスト(CAC)の効率性です。

  • 効率的: パートナー経由(紹介による信頼で商談化率が高い)
  • 非効率になりやすい: 広告(競合との入札競争)

契約金額と複雑さで選ぶマトリクス

チャネル選択マトリクス

契約金額意思決定の複雑さ推奨チャネル
高額複雑直販
高額シンプルパートナー or 直販
低額複雑代理店・導入支援パートナー
低額シンプルデジタル(セルフサーブ)

事業フェーズ別の選び方

チャネル戦略の進化

初期(〜$1M ARR)

推奨: 直販中心

  • 顧客と直接対話し、プロダクトを磨く
  • PMF達成まではスケールより学習を優先
  • オーガニック(紹介・コンテンツ)を並行

成長期($1M〜$10M ARR)

推奨: 直販 + 広告

  • 直販で確立した勝ちパターンを広告で増幅
  • マーケティングチームを構築
  • CAC・LTVを計測しながら投資

拡大期($10M ARR〜)

推奨: マルチチャネル

  • パートナーチャネルの本格展開
  • セグメント別にチャネルを使い分け
  • チャネル間の競合管理が課題に

パートナーチャネルの立ち上げ

パートナーの種類

タイプ説明
リセラー自社製品を再販SI、代理店
紹介パートナーリード紹介のみコンサルティング会社
テクノロジーパートナー製品連携連携SaaS
サービスパートナー導入支援導入コンサルタント

立ち上げの注意点

  • 直販で勝ちパターンを確立してから: パートナーに「売り方」を教えられない状態で始めない
  • パートナーの選定基準を明確に: 顧客基盤・業界知識・販売能力
  • 立ち上げに時間がかかる: 最初の成果が出るまで6-12ヶ月を想定

実践チェックリスト

  • 現在のチャネル別売上比率を把握した
  • 4つの判断軸でチャネルを評価した
  • 事業フェーズに応じた優先順位を決めた
  • チャネル別のCAC・LTVを計測している
  • パートナーチャネルの立ち上げ基準を設定した

よくある質問(FAQ)

Q1. 複数チャネルを同時に始めてもいいですか?

初期段階では1つに集中することを推奨します。1つで勝ちパターンを確立してから、次のチャネルに展開する方が効率的です。

Q2. パートナーに支払うマージンはどれくらいが相場ですか?

B2B SaaSでは契約金額の10-30%が一般的です。リセラーは高め、紹介パートナーは低めの傾向があります。

Q3. 直販とパートナーで顧客が競合した場合はどうしますか?

事前にルールを決めておきます。「先に接点を持った方」「パートナーの既存顧客は優先」などのポリシーを明文化します。

Q4. 広告のCAC高騰にどう対処しますか?

オーガニックチャネル(SEO・コンテンツ・コミュニティ)への投資を増やします。また、広告はリターゲティングやABMなど、高確度のターゲットに絞る方向に転換します。

Q5. チャネルの効果をどう測定しますか?

チャネル別にCAC・LTV・Payback Period(回収期間)を計測します。アトリビューションが難しい場合は、ファーストタッチとラストタッチの両方を見ます。


まとめ

主要ポイント

  1. 「全部やる」を避ける: 1つのチャネルで勝ちパターンを作ってから拡張
  2. 4つの軸で判断する: 顧客接点・スケーラビリティ・コントロール性・コスト効率
  3. フェーズに応じて進化させる: 初期は直販、成長期に広告、拡大期にマルチチャネル

次のステップ

  • 現在のチャネル別売上比率を可視化する
  • 優先チャネルを1つ決め、リソースを集中する

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参考リソース


本記事はyap(ヤップ)のB2B SaaS GTMシリーズの一部です。

この記事を書いた人

yap

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株式会社yapの新規事業開発コンサルタントたちによる編集チームです。新規事業の仮説検証・PMF設計、営業推進に関する知見を、さまざまなプロジェクト支援の経験をもとに発信しています。

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